第16話 必須脂肪酸/DHAとEPA
TVや新聞広告でお馴染みのDHA(ディーエイチエー)やEPA(イーピーエー)は「必須脂肪酸」の仲間です。不飽和脂肪酸とも呼ばれます。
魚の仲間でも特にサメの肝臓はDHAとEPAの宝庫です。サメから取れるDHAとEPAは肝油と呼ばれて、戦後日本の栄養不足の子供たちが無理やり飲まされました。魚の匂いが抜けなくて、臭くて不味くて、みんな鼻をつまんで飲みました。「良薬は鼻に臭う」時代だったのです。
それは兎も角、今はスーパーマーケットの鮮魚売り場に、必須脂肪酸たっぷりの青色魚が並んでいます。でも世の中は不思議なもので、豊かになると逆に欲しくなくなってしまいます。そのせいか、必須脂肪酸不足の人が増えてしまったのかも知れません。
もう1つ気になることは、脂肪を食べるとメタボになるとか、ダイエットに良くないとか言って、魚の油も嫌われることがあるのだそうです。でもそれは間違いです。不飽和脂肪酸は油の仲間ではありますが、メタボを予防する強い味方でもあるのです。その証拠に、EPAは高脂血症の薬(第5話を参照)になって、ジェネリックもたくさん出ています。
さておわかりいただけましたか?わかってはいても魚が嫌だという方は、昔の小学生がしていたように、肝油を飲んだらどうでしょう。今時の肝油は臭くも不味くもありません。魚油の精製法と製剤技術が進歩したので、飲みやすいサプリメントができています。
最後に不飽和脂肪酸の足りない人とは、中性脂肪の高めの人、血圧が高めの人、物忘れがひどいなあと感じる人、なんでそうなるのか思い当たる節のない人は、一度お試しあれ。