第20話 マルチビタミン
全部で18種類もある必須栄養素ビタミンは、どれか1つでも不足すると欠乏症にかかります。欠乏症を治すには、不足したビタミンを食べる以外にありません。不足したままにしておくと、やがて命が危険にさらされます。
食べものが豊富な現在、ビタミン欠乏症は稀な病気と思われがちです。しかし、食生活の片寄りが原因となって、子供からお年寄りまで多くの人がビタミン欠乏状態にあると推定されています。 ビタミン欠乏症は、不足したビタミンを多く含む食べものを食べれば治ります。
例えば、ビタミンAなら牛、豚、鶏のレバーに最も多いのですが、多過ぎるのでちょっと食べ過ぎると副作用につながります。ビタミンAの仲間のカロチンならば安全です。身体のなかで必要な分だけがビタミンAに変わるからです。
最近話題になったトマトのリコピン、温州ミカンのクリプトキサンチンもカロチンの仲間です。昔から知られている色つき野菜のベータカロチンとほとんど同じ役目を果たしています。そのくせカロチン豊富なトマトと言ってもトマトの売り上げは増えません。
リコピンたっぷりのトマトと言って宣伝すると、売り切れになったりするのです。
ビタミンA以外にも、ビタミンには似た話が色々です。何をどう食べたらよいのか消費者は買い物に迷ってしまいます。そこで登場したのが「総合ビタミン剤」でした。不足しがちなビタミンをバランスよく整えてくすりに仕立て上げたのです。
かつては人気の「総合ビタミン剤」でしたが、今は「マルチビタミン」と名前を変え、サプリメントとしても売られるようになりました。 一口にビタミンと言ってみても、自分の食生活を補う「マルチビタミン」を選びたいものです。納得できるまで薬剤師さんに相談してみるのも良いことですよ。