第22話 サプリメントの効き目とは
先日ある知人から、「ビタミン剤や抗酸化サプリメントには心血管病を減らす効果がほとんどない」という論文を読んだけど、ビタミンCとかEとかポリフェノールは何の役にも立たないということか?と聞かれました。
そういう論文はこれまで幾つも出ていましたが、今回の論文はこれまでのものをまとめて再評価したものです。その結論は、「ビタミンやポリフェノールを飲んでも狭心症や心筋梗塞の発作が減ることはない」というものです。間もなく日本語でもメディアに登場してくるでしょうが、注目すべきは、この手の研究で使われる評価法が、医薬品臨床試験の評価法と基本的に同じということです。
ですからもし心血管に異常を抱えている人が、医者にかからずサプリメントに頼るとしたら、「それはリスクを減らすことにはならない」ということなので、そういう人には受診を勧めるべきだということでしょう。では健康な人の場合はどうなるのでしょうか?
まず第1に、高血圧や動脈硬化などの兆候がない人が、心臓発作を心配してサプリメントを飲むでしょうか?もしそんな人に聞かれたとしたら、私だったらこう答えます。「心臓発作がご心配ならば、先ずはお医者さんでよく調べてもらうのが大事ですよ」と。
しかし考えてみますと、サプリメントの効き目を調べるために、何故医薬品と同じ評価をするのでしょうか?世の中の普通の人たちは、サプリメントに心臓病のような重大な病気の効き目を求めるよりも、もっと身近で自覚できる効き目のことを知りたいのです。なのにそういう研究はほとんどないのが現実ですから、ビタミン剤やサプリメントは、まず第一に安全であること、そして第二に「効くも八卦効かぬも八卦」に若干の科学性を求めているだけではないでしょうか。
このコラムでは、そういう日常的な話題を紹介して行こうと思います。