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薬食同源タイトル画像岡希太郎先生
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第51話 苦味は糖尿病治療薬

 前回、苦味健胃薬は胃酸を出して消化を促すと書きました。苦味は舌で感じるだけでなく胃でも感じているのです。胃が苦味を感じるということは、苦い味を感じるのではありません。そうではなくて胃酸の分泌を促すのです。

 しかし驚くのはまだ早い・・・苦い食べものには糖尿病を予防するという凄いパワーが潜んでいました。ご存知のように、食べたものが胃と十二指腸を通り過ぎると小腸です。小腸は三大栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)を消化して小さな栄養素(グルコース、脂肪酸、アミノ酸)を作ります。そしてこれらの栄養素が小腸の壁を刺激することで、壁細胞から血管に向かって、高血糖・高脂肪を防ぐ消化管ホルモンが分泌されるのです。

 消化管ホルモンは血管を通ってやがて膵臓に達します。すると膵臓はインスリンを分泌して、血中のグルコースや脂肪酸を、筋肉、肝臓、脂肪組織などの栄養備蓄臓器に蓄えるのです。この流れが毎日正常に働けば、糖尿病になることはありません。

 さて今年になって、小腸の壁細胞のうち、L細胞と呼ばれる細胞が、栄養素の他に苦味成分にも反応することが発見されました。L細胞の本来の働きは、食後にGLP-1という消化管ホルモンを血液中に分泌することです。GLP-1は血液に混ざってやがて膵臓に到着し、インスリン分泌を促します。

 インスリンは糖尿病の薬としても有名で、この注射液を毎日自分で注射している患者さんが大勢いらっしゃいます。インスリン注射を必要としない初期の糖尿病ならば、食後の高血糖を抑える飲み薬や、自分自身のインスリン分泌を刺激する薬が使われます。GLP-1は正にそういう薬になってもよさそうなホルモンですが、実は飲むと直ぐに分解するので飲み薬にできません。

 そこで製薬会社が作ったのは、L細胞が分泌するGLP-1の利用率を高める薬でした。その薬とは、GLP-1の分解を防ぐ薬で、DPP4阻害薬と呼ばれています。この他にもう1つの飲み薬として、GLP-1分泌量を増やす薬を探したのですが、現在までの所、栄養素以外には見つけることができませんでした。

 話を苦味に戻しましょう。形のある化合物ではなく、苦味という味が薬になるなんて誰も考えた人はいませんでした。製薬会社もびっくりの苦味がもたらす糖尿病治療効果とは一体どんな効果でしょうか?それこそがL細胞を刺激してGLP-1を分泌させる薬食同源の効き目なのです。

 カロリー・ゼロで消化管ホルモンの分泌を促すなど、灯台下暗し、奇想天外の大発見です。古来中国の名医たちでさえ、ほとんどの生薬が苦いという現実に惑わされてか、苦味がより強い生薬を糖尿病の処方に加えるなど思ってもみないことでした。そんな状況の下で、栄養素でも何でもない苦味が糖尿病の薬になる。しかし、日常の食べ物で苦い味は意外に少ないのが現実です。

 大抵の人は苦いものを好んで食べたりしません。むしろ苦いものは毒として避けてきました。苦味で人気のゴーヤチャンプルは例外なのです。夏の暑い日にゴーヤチャンプルを食べたくなる人が大勢います。ちょっと食べ過ぎてもGPL-1が出ることで、食後血糖値の上昇も抑えられているのです。ですから沖縄県では昔から体に良い食べものとしてゴーヤが親しまれてきたのです。

 さて、ある食品会社の調査によれば、ゴーヤの次に苦いのはコーヒーとビールだそうです。苦い食べものが少なくても、苦い飲み物が2つあるのです。なかでもコーヒーは、毎日飲むことで糖尿病リスクが大幅に減るとの調査結果があるほどで、厚労省もその効き目を認めています。

 如何でしたか?ちょっと難しい話もありましたが、これからは毎日の食卓で苦い味を嫌うのではなく、薬食同源の貴重な素材として活かしてみることをお勧めします。

薬食同源

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