第60話 健康食品の安全性について
健康食品に決められた定義はありません。薬のような規制はまったくありません。特保に若干の規制がありますが、おおむねメーカーの自己責任です。製造・流通過程で毒劇物の混入が見つかれば薬機法(旧薬事法)違反ですが、滅多にないことです。効能の過剰な表現は注意指導されたとしても、実際に被害が出ない限り罰せられる例は多くありません。そういうことですから、一般消費者はTV、新聞、雑誌などの大袈裟な広告に戸惑ってしまいます。
もしあなたが健康食品やサプリメントに興味があって、一度試してみたいと思ったら、先ずは薬剤師に尋ねてみるのが賢明です。その前にネットで調べてみたいと思ったら、内閣府・食品安全委員会のホームページをお勧めします。元気でいたいという願いをかなえるには、正しい情報を選ぶことが大切です。
食品安全委員会は「国民の皆様へ」と呼びかけて、「健康食品についての19のメッセージ」を発表しました。安全で有効なはずの健康食品による被害を防ぐ目的です。今年からはFacebookでも情報を発信しています。とても大事なことなので、このページをお借りして要旨だけ紹介しますので、詳しいことは是非ネット検索してご覧ください。きっと為になりますよ。
●「健康食品」に関する情報(内閣府・食品安全委員会「国民の皆様へ」から抜粋)
1 「食品」であっても安全とは限りません。
・健康被害のリスクはあらゆる食品にあります。身近な「健康食品」にも健康被害が報告されています。
・「天然」「ナチュラル」「自然」のものが、安全であるとは限りません。これは食品全般に言えることです。
・栄養素や食品についての評価は、食生活の変化や科学の進展などにより変わることがあります。健康に良いとされていた成分や食品が、その後、別の面から健康を害するとわかることも少なくありません。
2 多量に摂ると健康を害するリスクが高まります。
・錠剤・カプセル・粉末・顆粒の形態のサプリメントは、通常の食品よりも容易に多量を摂ってしまいやすいので注意が必要です。
3 ビタミン・ミネラルをサプリメントで摂ると過剰摂取のリスクがあります。
・現在の日本では、通常の食事をしていればビタミン・ミネラルの欠乏症が問題となることはまれであり、ビタミン・ミネラルをサプリメントで補給する必要性を示すデータは今のところありません。健全な食生活が健康の基本です。
・むしろサプリメントからの摂り過ぎが健康被害を起こすことがあります。特にセレン、鉄、ビタミンA、ビタミンDには要注意です。
4 「健康食品」は医薬品ではありません。品質の管理は製造者任せです。
・病気を治すものではないので、自己判断で医薬品から換えることは危険です。
・品質が不均一、表示通りの成分が入っていない、成分が溶けないなど、問題ある製品もあります。成分量が表示より多かったために健康被害を起こした例があります。
5 誰かにとって良い「健康食品」があなたにとっても良いとは限りません。
・摂取する人の状態や摂取量・摂取期間によって、安全性や効果も変わります。
・限られた条件での試験、動物や細胞を用いた実験のみでは効果の科学的な根拠にはなりません。
口コミや体験談、販売広告などの情報を鵜呑みにせず、信頼のできる情報
(詳しくは → こちら https://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.html)をもとに、今の自分とって、本当に安全なのか、役立つのかを考えてください。