第86話 最強のポリフェノールはどれか?

 酸化ストレスを和らげてダイエットに役立つというポリフェノールですが、その種類が多過ぎて、どれが一番良いのか解りません。そんな科学の遅れをよそ眼に、「美と若さを保つポリフェノール」の広告が毎日のように目につきます。

 「野菜と果物をたくさん食べてバランスの良い食事を摂れば元気になります」と言うのですが、働き盛りの忙しい中年社会人には、ゆっくり食事を摂る暇はありません。そこで広告は「我が社のポリフェノール1日分には野菜300グラム分が入っています」との魅力ある言葉で迫ってきます。そして数ヶ月分を買い込んで、少しは効くだろうと期待して、毎日体重を測るのですが、多くの場合に失敗に終わります。何か良い手はないでしょうか?

 あります!食事が終わったら必ずお茶かコーヒーを飲みましょう!

 昨年末のこと、欧州9ヶ国の349,165人が食べている91種類のポリフェノールの量を割り出して、5年間の体重変化と比べてみたというのです。人を対象にした大規模調査の結果です(文献1)。もちろんお茶とコーヒーのポリフェノールも調べてあります。その結果を見てみますと、91種類のうち67種類が体重減少(負の体重変化)と関係していたのに対して、逆に体重増加と関係していたのは8種類だけでした。

 ダイエット効果が一番はっきり見られたのはタマネギのケルセチンで、2番と3番にコーヒーとお茶が続きました。4番から後はどれもがどんぐりの背比べで、どれを選ぶのが良いかというような差は見られませんでした。そこで言えることは、「どんな食事を摂ったとしても、仕上げにはお茶かコーヒーを飲みなさい」ということなのです。

 これと似たデータについて、第77話「世界の健康食とコーヒーとお茶」に書きました。健康に良いと言われる地中海食と和食ですが、どちらも仕上げにコーヒーを飲むと、肥満者に多い心血管病のリスクが下がるというのです。

 ではここで、どんなコーヒー、どんなお茶が良いのか書いておきましょう。先ずお茶については、夏の暑い日には欠かせないペットボトル茶でも良いのです。緑茶でも紅茶でも良いのです、何故ならお茶に入っているポリフェノールは、どれもがカテキン類で抗酸化作用に大きな差は無いからです。

 次にコーヒーはどうでしょうか?カフェイン入りかデカフェか、インスタントコーヒーはどうなんだ・・・などなど色々ありますが、砂糖やミルクを入れないか少なめにすればどれでも大差ないのです。ただ大事なことは、深く煎ったコーヒーにはポリフェノールが入っていないので、ダイエットのためなら浅く煎ったコーヒーが良いということです。

 では最後にタマネギについて。実はネギ属の野菜は色々あって、普通の長ネギ、万能ネギ、タマネギ、ラッキョウ、ニラ、更にはニンニクと言った具合に、聞いただけでも元気が出そうな野菜がズラッと並んでいます。これらの中でケルセチンを一番多く含んでいるのはタマネギです。

 これから始まる食欲の秋に、モリモリ食べるのは悪くないのですが、毎日必ずタマネギ料理を加えることで、肥満リスクの高い季節を健康に乗り切ることができそうです。

 

(文献1) Gil-Lespinard M,et al. Dietary Intake of 91 Individual Polyphenols and 5-Year Body Weight Change in the EPIC-PANACEA Cohort. Antioxidants (Basel),11:2425.2022.

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